02084878  親になるのは本当に難しいものです。ましてや、親でない人間が子どもを育てるというのも非常に難しいものです。

 塾の教師、特に塾長というのは、意外なほど子どもがいない夫婦がいるものです。私が親しくつき合わせていただいている塾長も数えればすぐいくつも指が折れますし、独身の先生もまだまだ多くいます。ご存知のようにウチも子どもはいません。

 若い頃は、「独身の先生に子どものことなんて分かるんですか?」などと面と向かって言ってくる親御さんもいました。私は平然と、「お母さんは中3生は初めてでしょ? 私、中3だけならもう7回、しかも延べで100人から見ていますが…」と逆襲したものです(笑)

 今ならさしずめ、「子育てしたことない先生達に、親の苦労は分からないでしょう?」と言われるのかもしれませんが、さすがに23年も子ども達を見てくると、分かった気になってしまいます。ただ、子どもがいない人間こそ、子どもに関わる仕事をせねばならないと私は思います。そうでなければ、「子どもを育てる」という部分に一切貢献しないでいることになります。子育てはある意味「国家事業」です。直接的に子育てしないのですから、その分、子育てに参加しなければ不公平なのではないかと考えています。

 また、血がつながっているからこそ見えなくなる部分も多分にあります。そこは客観的な目でアドバイスが出来る人間が必要になってくるのではないでしょうか。つい肉親だと思うと見えなくなる部分もあります。余計に感情的になる場合もあります。あくまで「他人」の観点から、子どもを見守る人間も必要なのだと思うのです。

 本書のタイトル「毒になる親」とは、大変衝撃的なネーミングですが、所謂「虐待」する親のことを指しています。しかし、本書の指摘によると、我が国では所謂身体的「虐待」や性的「虐待」ばかりが「虐待」だと思われているのですが、それだけではないということが分かり、読者はますます衝撃を受けることになります。
 「その時によって言うことが変わる親」「お前のためだと言いながら子どもを支配する親」「完全でないと許さない親」「父(母)の暴力を止めない親」「子どもが従わないと罰を与え続ける親」「大人の役を子どもに押し付ける親」などなど… 指摘されると「ドキッ」とすることも多々あります。「こんなことも虐待にあたるのか…」「こんなことも子どもの成長に悪影響を与えるのか…」「こんなことが子どものトラウマになるのか…」 読後、本当に自分を恥じることが多くありました。気をつけているつもりで、意外に気付いていないのかもなぁ…と。

 これを手にする親御さんが、まさか「自分は毒になる親かも知れない…」と思ってはいないでしょう。むしろ本書はそういう親に人生を翻弄されてきた子どもが、トラウマから解放されるために書かれた名著とされています。

 しかし、本書を読んで、私はいろいろなことを思い出しました。大人なら理解できることも子どもにはトラウマとしかならないことは沢山あります。ただ、同じ境遇でも、それがトラウマとなり、その後の子どもの人生をメチャクチャにする場合もあれば、全く影響がない場合もあります。

 何が違うのか。筆者はやはり「信頼関係だ」と言います。子どもとキチンと話をすることです。塾でおしゃべりな子は、学校や家庭で気を使っています。親や家庭で反抗的だったりワガママだったりする子は学校生活がしんどい可能性があります。そのサインを見逃さないことが大事でしょう。そして、親御さん自身が「毒」にならないことが。 子どもとの関係を考えるには、相当参考になる書です。何となくお子さんとの距離を感じたり、何となく子育てに自信が無いと感じている方は、是非是非ご一読下さい。特に前半が役立つと思います。
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「さくらのまなびやNeo」
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