大人が考える以上に「勉強」や「受験」は子どもにとって「困難」です。大人は「そんなの大したことない」などと言ってしまいますが、子どもにとっては人生を懸けた大勝負みたいなところがありますし、自分の生活を全て捨てて取り組まねばならないから地獄だ… なんて思ってしまうこともあるようです。

 当然のことながら、辛そうな時もありますし、嫌がったり、荒れたりすることもあるでしょう。しかし、それは全て「幼さ」からくる現象。つまり、器がまだ小さいから、困難を許容し、乗り越えることが出来ないという現象なのです。当然、大人になるにつれてこれは解消されるものです。

 もちろん、自然成長で解消されていく部分もありますが、大半は「経験」「訓練」で困難を克服する術を身に着けていくというのが「成長」だということになってきます。ですから、これらの困難は、乗り越えさせてナンボです。アドバイスや支援や、心の支えは必要ですが、あくまで子ども本人が、本人自身で乗り越えることに意味があり、そうでなければ子どもの成長は無いのです。

 大人が先回りして、何でもやってあげてしまったり、何でも手を出してしまう親御さんがいます。本人に質問しているのに、お母さんが答えてしまったり、本人は質問者を無視して、親御さんに救いを求めたりするケースもあります。これはなかなか困難を乗り越えられないタイプ。「さて、困ったぞ」となることも多々あります。

 私たちは、「どこで突き放すか」というタイミングを非常に気にしています。もちろん最初から突き放してしまうと、単に迷って終わりということになりかねませんから、最初は「併走」します。しかし、どこから自分で行かせるかは考えます。なぜなら、勉強も、いつまでも一人で乗り越えられないと成長しないからです。自分で勉強できるようにならないといけませんし、いつまでも親御さんの手を煩わせることになります。最終的には親離れできない子になってしまいます。

 困難は乗り越えさせる。手は出さず、目を離さず、見守ってあげる、アドバイスを与え、自分で判断させる、そういう機会も設けないと、子どもはなかなか成長しません。よく考えたら、勉強など、社会に出てからの困難に比べたら大したことはない… は大人の論理か!(笑)