私は時々、子どもにショッキングな話を振ることがあります。

 「オマエさ、詐欺を働くとして…」
 せんせ、オレ詐欺なんてしないよ!と言われますが、まぁまぁ、働くとしてですよ(笑)
 「バカな奴と、利口な奴がいたら、どっち騙す?」
 さも当然という顔で、「ばかー!」と生徒は答えます。だよね。かわいそうだけど、バカはそうやって騙されちゃうよね、と。

 「じゃ、注意力がある人と無い人は?」
 これまた当然のごとく、「無い人―!」と即答します。だよな、注意力があると、すぐバレちゃうもんな。
答えてから、生徒たちは何を私が言いたいのかが分かるようです。そうか、勉強しなかったり、アタマがよくなかったりすると、騙されちゃうのか… まぁ、子ども相手の話なので、単純化しないと伝わらないという面もありますから、語弊があることは重々承知ですが、何かを悟ってもらえるネタではあります。

 私も、大人になってビックリする経験というのを何度かしてきました。世の中って、正直じゃない人も結構多いんだな…って、疑心暗鬼になったことも一度や二度じゃありません。大人の世界って、コワイ… そんなことも何度も経験しました。しかし、そこまで大事にならなかったのも、最低限の知恵と知識を持っていたから、またおかしなことに気づく力はあったからだと思います。それを備えてくれた両親に感謝。

 家電でもPCでも、説明書は読みますよね。今やPL法があるために、「そんなの知ってるわい!」ってことまで説明書きがありますが、その説明書に書いてあることを、「知らなかった」では通りません。

 法律でもそうですね。刑法や民法などを読んだことがある人の方が少ないでしょう。しかし、「人を殺しちゃいけないなんて知らなかった」と言い張ることは出来ません。刑法を見たことが無くても、犯罪は犯罪です。

 つまり、知識は「知らないあなたが悪い」というのが原則です。「あなたの常識は世間の非常識」と言われます。思わぬことを知らなくて、「それ、ふつう知らないでしょ?」と言い張る人もいますが、いや、世間様はみんな知ってるからね? 知らないの、あなただけだからね? という場面はしょっちゅう見られます。

 入試問題は、落とそうとする試験。ゆえに罠がしかけてあります。痛いところを問題として突いてきます。賢さと注意深さを養うことは、実は世間の荒波をクレバーに乗り切ってくる力を養うことでもあります。

 契約書や書類の手続きでも何でも、書いてあることに注意深くなること、知らないことを積極的に学べること、これは大人になってからも大変重要なことだと思います。子どもにはそういう力を養ってほしいものです。