生徒にいつも「地道な努力が大切だ」と言ってきました。正直、地道な努力が非常に苦手だった私ですが、苦手を自認しているがゆえに、あえて地道な努力を続けることを目標に桜学舎の運営を続けてきました。地道な努力を続けることによって、本当に成果が出ることをわが身で証明することが、教える立場の人間としては重要だと思ったからです。

 お陰様で、東京に来て6年、生徒数を一度も減らすことなく成長することが出来、私が運営を始めた当初から比べ何倍かの生徒数にまでなりました。大々的に立派なチラシを撒いて生徒をかき集めたわけでもなく、自分で印刷機で刷ったチラシを撒いただけ、真面目に真剣に生徒と向き合ってきただけなのですが、これこそ「地道」な努力だと言ってよいのだと思います。もちろん皆様のお蔭。

 最近私が最もよく言うのは、「当たり前のことを当たり前にする」ということ。これは私が言ったのではなく、ある方に「これが一番難しいことなんだよ」と教えて頂いたことです。シンプルであるがゆえに、最も難しいことであるのは確かでしょう。しかし、当たり前のことを当たり前にやらねば、結果は出ません。ゆえに、そういう地道な努力を重ねようと思ってきました。お陰様で結果が少し出たというだけのことなのでしょう。

 自分としては出来過ぎの感はあるのですが、こうなってくると、「昔の方が良かった」「最近はアットホームさが無くなった」「先生たちと話す時間が少なくなった」「質が落ちた」「雑になった」などと言われがちです。全てにおいて、「本質」を求めてしまう私にとっては、これが最大の屈辱です。多少生徒数が増えたって、桜学舎がやっていることは何も変わりませんし、何もブレてはいないのですが、もちろんそこには「物理的な問題」も現実として存在していますから、私は今それをとても気にしています。自分がやらねばならない仕事よりも現場の仕事を優先するようにしていますので、どうしても残業が続きます。帰宅が深夜1時、2時になることも増えてきました。でも、現場仕事は後回しには出来ませんから、しばらくはこれで乗り切るしかないなぁ…と思っています。

 以前にもどこかで告白しましたが、「先生、繁盛して儲かってますね!」と言われますが、儲けることを考えるなら、塾なんて仕事は絶対にしてはいけません。脱サラして塾なんて、よほど奇特な方がやることです(笑) 塾は基本的に好きじゃなきゃ出来ない仕事。私など、給料を純粋に仕事をしている時間で割ったら、高校生のアルバイトよりも時給が低いことでしょう。

 「どんどん桜学舎を大きくしましょう」という方もいます。ビジネスを大きくして、株式を店頭公開したり上場したりすることが目標だという会社経営者もいるでしょうが、「あなたの目標は?」と聞かれるたびに、私は最近、「インディーの雄」と答えることにしています。

 いわゆる大手塾は、言うなれば「メジャー」です。有名で、看板もあって、資本もある。それに対して、私たちは所詮「インディー」、独立団体、自主制作です。インディーの一番の利点は「自由」であるところ。組織の論理や企業の論理に絡めとられることなく、自由な発想で本質を求めていくことが出来るところです。利潤追求・企業存続を第一義としたメジャーとは、生き方が正反対ですし、塾としても本質的に似て非なるものであるのです。

 私は、桜学舎をメジャーにするつもりはありません。メジャーになり、大きくなれば組織の論理が必要になってきます。 しかし、それは私が求める本質的な部分とは大きくかけ離れますから、きっと私自信が最初に面白くなくなってしまう気がします。

 ですから、私がなりたいもの、桜学舎が進んでいく方向、それを聞かれると「インディーの雄」という答えになります。今のこの桜学舎が、そして生徒のことを本当に一生懸命考える桜学舎が、数多くの方に支持されていくことは望むところですが、それを「メジャー」という「力」に転換することは私のやりたいことではありません。


 ですから、古くからおいでいただいている方々、ご安心ください。桜学舎はたとえ表面的な変化があったとしても、求める本質は変わりません。