私が一番嫌な事。
 それは、社長としての仕事です。
 
塾・塾長としての仕事はとても楽しいし、ライフワークとして選んで失敗ではなかった仕事だと思います。ある意味天職であったと思います。自分でいうのも何ですが、これだけ続いてきたというのも、きっと子どもに好かれる性格なのだと思いますし、私自身が子どもには裏表なく付き合っているところがありますので、子どもはそういうところを見てくれているのだと思います。保護者にも、心から思うことを真剣に向かい合って申し上げていくことで、ご信頼頂きたいと思ってお付き合いしてきたがゆえに、本当によくして頂いています。私達も心から感謝申し上げています。
 
しかし、この塾は小さいながらもひとつの株式会社でもあります。
 文部科学省管轄の学校ではなく、経済産業省管轄のサービス業であり、利潤追求を最大目標とし、存続し続けねばならない「企業」でもあります。ゆえに、私には塾長であると同時に、「社長」としての仕事も存在します。
 
まぁ、大きな会社なら、人事やら営業やら総務やら何やら… とにかくいろいろな部署ごとに仕事があるんでしょうが、そこは弱小・零細企業ですから、全部社長の仕事となります。この社長は、営業マンであり、総務部長でもあり、人事の責任もあり、同時に現場監督でもあります。その中でも、人事の仕事は嫌だなぁと思います。
 
そもそも、自分が人を査定できるような人間でもなく、客観的に、公平になんて人を評価することなど出来ない人間です。私が上司だったら、私は嫌だなぁ…(笑) こういう仕事が一番嫌いですが、せざるを得ません。正直、自分も辛い。
 
少し人数が増えたからこそ、こういう「企業的な部分」が如実に出る仕事もせざるを得なくなります。
 例えば、以前なら個性的なスタッフも使うことが出来ました。なぜなら、ちゃんと私達が向かい合っていくことで、そのスタッフのいい部分を引き出そうとしていたからです。ですから、かなり面白い人材がいました。今も勤務を続けているK講師などは、なかなか面白いスタッフですが、以前かなり向き合ったからこそ今があります。強烈な彼のファンもいますし、我が家に遊びに来るまでの関係にもなりました。
 
しかし、今は…
 やや方向性が変わってきています。生徒の数も、スタッフの数も増え、私達も抱える仕事が多くなりました。そんな中で、スタッフはやはり「即戦力」になりうる人材を求めますし、一人一人がしっかり動ける人材であることが求められます。以前ならばゆっくり話をし、ゆっくり分かってもらいながら仕事を進められたものも、今は私にその余裕がないのでしょう。つまり、人材を育てる時間がなくなってきたように思います。何だか、スタッフには申し訳ない気がします…
 
こういうところから、企業の悩み(まぁ、ウチがイッチョマエのことを言うな…って笑われそうですが)というものが生まれてくるのだろうなぁと、改めて勉強させてもらっている気がします。いずれにせよ、以前とはちょっと違う考え方とスピード感で仕事を進めていく必要に迫られているということなのです。
 
今日、ふと、長いスタッフに、
 「40人くらいの頃が一番楽しかったなぁ…」
 とつぶやいてしまいました。確かに、自分の楽しさを求めるなら、そのくらいでしょう。しかし、今はそうも言っていられない状況。楽しさはまた別として、塾としてもっといいものを、もっと役立つものを、もっと素晴らしいコンテンツをご提供できるように、まずはしっかりとした基盤を作る方が先なのだと思っています。
 
桜学舎は、地域のインディーの雄になりたいのだと、つい最近のエントリーで書きました。ゆえに、何百人、何千人という規模の大手になる予定は無いのですが(笑)、この谷根千の地域で、安心し、信頼してお子さんを預けて頂ける塾になりたいのです。何かあった時に、「桜学舎に行ってみたら?」「塾長に相談してみたら?」と言って頂ける塾になりたい、ただそれだけなのです。生徒が不思議と塾に行きたがる…そんな風になって欲しいだけ、卒業生が「こんにちは」と訪ねて来れる塾になりたいだけ、ただそれだけなのです。
 
それには遊んでちゃダメなわけで、基盤はしっかり作らねば。だから、嫌なことから逃げずに人事も営業も総務もこなしていますが、でも、もう少し自分にキャパシティがあればなぁ…と思います。もっと生かしてあげられる人材はいっぱいいるんだろうなぁと。自分の力不足で、育ててあげられない人材が多いのではないかと、絶賛落胆中です(笑)
 
皆に支持されたいという拡大路線。
 インディーのままでいたいという現状維持路線。
 この二つの相反する考え方を抱えながらも、バランスを取りながら自己実現を果たしていくのは、実はかなりのキャパなのだと思います。しかし、それこそが私の目指すところ。
 
皆さん。ダメ社長で申し訳ない。育つはずの人材も育てられず、芽が出るはずの人材も枝を折ってしまうこともあったりします。でも、頑張ります。今居てくれるスタッフと生徒と保護者を大切に、これからも足元を踏み固めながら進んでいきます。
 
そんなクリスマス。さあ、明日から冬期講習、頑張ろう。