斎藤 一人(さいとう ひとり)さんは、「銀座まるかん」の創業者です。彼の発表するところでは、高額納税者公示制度(長者番付)12年間連続10位以内。実質手取り額(税金を差し引いた残りの額)で日本一。2001年までに納めた税金は国税だけで138億1910万円。総資産200億円、平均年収は30億円だといいます。

そんな斎藤さんのことばは、数多く書籍化され、社長と呼ばれる方々が一生懸命読んでいたりします。私もいくつか… そんな彼の言葉の中で、私が社員にいつも言い聞かせていること、そしてこれから就職しようとしている大学生や、就職に迷うフリーター達に言い聞かせていることを、スッキリとまとめている言葉を見つけました。

「これだよ!オレの言いたいことは!」
と思ったと同時に、これは桜学舎の教育方針や「理念」に通じるものがかなりあるなぁ…と思いました。ちょっと長くなりますが、ご紹介したいと思います。

以下引用-------------------

蕎麦(そば)屋で、こういうそばで、このおつゆで、これを出す。それで繁盛したとします。その商売当たったんですよね。こういうのは、コピーがきくのです。だからその蕎麦屋が江戸川区で当たったのなら、葛飾区でも同じことをすれば当たります。世田谷でも当たるのです。コピーがきくから1個当たりを見つければ何回でも当てられます。商売でビルが建つのはそういうワケなのです。だから、「大金持ちになりたかったら商人になるといいよ」って、私はいうのですね。「商人は楽しいよ」っていいます。

けれど、商人になるのなら、なった後のことも考えなくちゃいけない。「自分は人に使われるのが嫌だから独立したい」という人が、結構、います。不況になるほど、店舗が安く借りられたり、独立しやすくなるから「今だ、それ行け!」となるのですが。


そういう人に、覚悟を試すわけじゃいけれど私はよくこの話をするのです。「商人がサラリーマンより楽だ」と思ってやるならやめたほうがいいよ、って。「サラリーマンの3倍、苦労していいんだ」というつもりでやったほうがいいよ、って。その心構えがあれば、頭も使うし、いろんな知恵も使おうとします。そうやってサラリーマンのときより3倍努力してサラリーマンと同じ収入になったら成功者。これが、商人の世界です。


サラリーマンは楽だといっているのではありません。サラリーマンとは世界がまったく違うといっているのです。どれぐらい世界が違うかというと、このたとえはあまり使いたくないのだけれど、たとえば、東大に入った人たちは、最高学府に入って「頭がいい」とされていますよね。その頭のいい東大生はなぜか企業家にならずに官僚になりたがる。それはなぜかというと、自分たちの頭は記憶力頭であって、学校の勉強がよくできても経営ということになってくると通用しないことを知っているのです、あの人たちは。


「東大を一番で出ました」といっても、学校の試験には必ず教わったことしか出ません。すでにある答えを書けばいい世界です。ところが、実社会はそうじゃない。商人になって困ることというのは答えがない、ということなのです。経済学者やアナリストは過去にさかのぼって「こういう事例に似てる」とかいいます。似てる事例はいくらでもあるけど、競馬の予想だって過去のデータをいくら調べても次のレースは当たらないんですよ(笑)


だから、商人の世界は、教わったことを答案用紙に書くとか、過去の事例を探すのとは、全然、違うのです。商人は、1つの当たりを見つけたら、それをコピーしていくのと同時に未来を見通していかなきゃいけない。その、教わったことのない答えをどうやって見つけるか。これにかかってくるのです、商人の世界は。


だから、ヘンな話、一流企業の部長クラスの人でも、自分で喫茶店をやったらつぶします。それぐらいに思ったほうがいいのです。会社にいたときは自分の部下や取引業者さんから「部長、部長」って、上に置かれていても、焼き鳥屋をやったらうまくいくかどうかわかりません。自分が知っている焼き鳥屋の大将が大学出じゃなくて、いつも俗っぽい話しかしないから、「あの大将がやれるなら、自分もできる」と思ってやってみたら、大将のすごさがわかります。


-----------------
中小企業の中でも、最も起業率が高く同時に廃業率も高い業種の一つが飲食業。設立1年後で50%、10年後では10%しか残っていないというデータがある。そして、日本の法人の約7割は赤字企業。見た目では簡単そうな飲食業は実は本当に難しいビジネス。調理やメニュー開発、ネーミング、広告宣伝、接客、ディスプレイ、店舗開発等々、普通の会社でいう、製造部門、研究開発部門、マーケティング部門、パブリシティ部門、IT部門、カスタマーサービス部門、インテリア内装、不動産部門等々を同時に、高いレベルで実行していかなければならない。やらなければならないことが多岐にわたっているからだ。単に料理が上手だとか好きだからという理由だけでは店の繁栄は望めない。


飲食業に限らず起業するなら、人の3倍、4倍働く気がなければ成功はおぼつかない。そして、競争が激化すればするほど人マネではうまくいかない。しかしながら、難しければ難しいほどやりがいがあるのが人生だ。

商人の醍醐味は、「教わったことのない答えをどうやって見つけるか」
「商人は楽しいよ」とニコニコして言える人でありたい。


------ここまで------


就職すること、仕事をすること、お金を稼ぎ、生きていくこと。

私達から見れば、本当に心にしみる、参考になる言葉だと思います。


私も商人は楽しいと、ハッキリ言います。

しかし、正解は無い。こんな怖いことはありません。だからみんな「安定」という幻想のもとに、「会社」へ就職しますが、会社をやってる人は「商人」ですので(笑)、結局その会社が窮地に陥れば、「死なば諸共」なんですね。つまり、「安定」なんて「幻想」でしかない。


要は、言われたことをやっていれば給料がもらえる…という立場か、見えない答えを探し、社員に給料を出す立場かということだけなんです。ただ、言われたことだけやってれば…という人の給料はどんどん低下しているのは世の景気動向などを見ていればわかることです。


だからといって、夢中になって勉強し、夢中になって働き、仕事が楽しくない人は商人になってはダメです。絶対大失敗しますし、失敗から立ち上がる力がなければそこで人生が終わります。私たちのような「小商売」であれば、1失敗1000万円くらいに考えていれば間違いありません。まぁ、商人の金銭感覚も全く違いますが。商売をやる上で、500万だ1000万だという額はあっという間に無くなる額です。(個人的には大金ですよ!) 小さな飲食店を一つ開けば、軽く1000万円かかります。冷静に考えれば恐ろしいことです(笑)


では、商人は、なぜ就職せず、こんなリスクを背負って、自分で店をやったり会社をやったりしているのか。
答えはただ一つ。
面白いからです。
公務員家庭出身の私も、すっかり商人になってしまいました。なった時は「もう戻れないな」「将来大丈夫かな?」なんて思いましたが、ひとまずここまでは生きて来れました。勉強もしましたし、自己投資もしました。失敗もたくさんしましたし、恥もかいてきました。でも、総じて面白かったなぁ。そしてここからも、面白いことしかしたくないわけです。


商人。

そういう生き方もあるんですよね。
もちろん、会社というところに入ってみると、会社というところがどういうところだか分かります。でも、大学生たちが猫も杓子も「就職、就職」と言っていると、滑稽やら情けないやら。「就職できない人間は駄目なやつだ」くらいのことを現代の大学の就職課の職員は言い放つそうです。就職だけが正しい人間の生き方だと教えます。そうでしょうかね? そんな教育がグローバル社会の教育でしょうか? 日本経済に活力を与えるような教育でしょうか? こんな就職予備校みたいなことしか言えない大学が常識化する日本社会では、新しい発想の企業、若いスゴ腕の起業家やベンチャーが出てくる土壌すら作れないと思いますし、本当に優秀な人材はもう既に海外流出していますよね? シンガポールなどの発展ぶりはそこにあるのですから。

チャレンジしたり、失敗してもまた再起をかけられたりと、若者の自由闊達な力強さを応援する社会を作らねば、この国の未来は無いと、私はそう信じています。だから、若いビジネスを応援したり、小さなチャレンジを実現させてあげたり、そこへ投資したり、経験を積ませたりしています。私の出来ることなんて小さな小さなことです。しかし、自分の教え子や、自分を慕って来てくれる子には、いろいろと経験させてあげたいと思っています。

何度かここでお話させて頂いた、義弟の店「レオニダス谷中上野桜木店/カフェqum」も、義弟の小さなチャレンジを、金銭面・経営面で応援しました。将来自分で福祉施設を作りたいという夢を持つ教え子が、小さな店舗の立ち上げを内部から経験したいと申し出てくれたので、スタッフとして働いてもらっています。かなりいろいろなことを任せています。

桜学舎のスタッフも同様、学生・社会人の差なく、合宿の下見やイベント企画を一緒にやらせたり、スキルの向上や塾団体の会合、研修会に出席させたり、いろいろな「経験」をさせています。興味があるのなら、どこへでも連れて行きますし、志願すればやりたいことを、ビジネスの進め方をサポートしながら実現させていたりします。それもこれも教育。若者支援。そして将来、我が社で働きたいと言ってもらえたら最高ですから。しかし、それは「答えの無いチャレンジ」です。

社長輩出日本一が東大ではなく、「日大」だってことも、何となく分かりますよね。
頭がいいから、勉強が出来るからといって、実社会で成功するわけじゃないんですね。

私は、一番大事なのは、
「仕事のセンス」
だと思っています。サラリーマンだろうと、商人だろうと。
センスの悪い奴は、私から言わせれば、ポンコツです(笑)

そして、センスは「磨く」ものです。先天的なものではありません。だから、頑張れるのです。

商売に、模範解答はありません。正解もありません。
だから面白い。


商売は面白いのになぁ…と思います。
是非、皆様。
斉藤一人さんの本でも読んでみたらどうでしょう? 
誤解なきよう言っておきますが、就職したりサラリーマンになることが悪いと言っているわけじゃないのですよ。ただ、自分で商売をしたい、会社を作りたいというと、

「バカな考えを起こすのはやめなさい」
「オマエになんてできるわけがない」
「お願いだからちゃんと就職して」 

こう言ってしまうことが、「どうなの?」と言っているだけです。
商人という生き方、フリーランスという生き方もあるのですよね。まぁ、会社勤めを経験することもひとつの「経験」だとも思うので、何が正解かなんて分からないのですが、「若者のチャレンジは応援してやりたいものです」と言いたいわけなのであります。そして商売は楽しいよ、と言いたいだけなのです。

悪しからず(笑)