学校の定期テストと違って、塾の実力試験を軽視している子が多いというのは最近に限ったことではありません。特に中学2年生あたり。成績表に関係するわけでもなく、またその成績によって何かが決まるわけではないので、「別に悪くても関係ない」、そんな風潮が見られるのは昔からのことです。

ただ、長年現場にいると、こういう傾向からその子がどういう子なのかが分かってしまいます。つまり、その子が成長するのか、まだしばらく成長は期待できないのか、そういうことも分かってしまうのです。この、「塾の実力試験」を軽視する子、特に勉強が苦手な子になればなるほど、「これは関係ある」「これは関係ない」と、自分のやることを選別したがる傾向にあります。勉強ができる子は、いちいちうるさいことを言わないものです。できない子ほど、「これはやる意味があるのか」「やらなくてもいいのではないか」「無駄なことはしたくない」と、まぁ口が悪い言い方になりますが、「利口ぶってみる」傾向にあります。本当に利口な子はこんなこと言わないんですよねぇ。

底辺校と言われる、本当に学力の低い学校では、「これは試験に出るぞ」というと授業が急に大人しくなり、直接関係ない実験などをやっていると授業が成立しないことすらあるのだとか。試験に出るか出ないかで、勉強する価値があるかないかを判断しているような子は、どんなに偏差値が高かろうと低かろうと、知的好奇心の高い利口な子ではありません。またそんな子に育つ要素がありません。

本来は、実力試験こそが本質なんですね。だって、どんな範囲だろうと、どんな場面だろうと、どんなタイミングだろうと、分かっていて使える知識を持っていれば、何の問題もないはずなのですから。実力で全てが解決できる人間になるために勉強しているわけですから、「準備さえしておけばできるようになったはず」では、本当の勉強の「成果」を得ることにはなっていないのです。

 実力試験こそ重視してほしいところです。