これまた長年の合宿から、生活の基本行動についてもいろいろなことがわかります。

朝。6時50分に起こされ、7時から早朝学習。8時朝ごはんなのですが、比較的睡眠不足とはいえ、スッキリ起きない子もいます。寝起きが悪くても、習慣として、まず朝1杯の水を飲むとか、トイレに行く、顔を洗う、歯を磨く、そんな行動が「ルーチンワーク」になっていない子が結構いますね。何にもしないで教室へ出てきてしまう、半分寝ぼけ眼で…という子も多かったです。特に私は、1杯の水はうるさく言います。寝ているときはたとえ自覚がなくても発汗していると言いますし、やはり水1杯で目も覚め、体が潤います。冷水を飲むと胃を痛めることもありますが、刺激の少ない水を飲むことは大切なんだろうと思います。

食事をする際も、自分でご飯をよそったり配膳したりできない子が見られました。「相当お坊っちゃまだなぁ!」とからかいましたが、自分でご飯の準備をしたことがない、お片づけもしたことがないという子がいたのにはビックリしました。お母さん、甘やかしすぎです!(笑) また、食器を持って歩けない、持って歩くとフラフラする子というのも、普段からお手伝いをしていない子。本当に「出来る子」っていうのは、基本「何でも出来る子」であって、家事も結構出来るものですよ。生活がしっかりしているものですから。

これは「お片づけ」「整理整頓」ができない子にも共通して言えることです。片付けられない子は、基本的に勉強は出来ません。だって、頭の中の整理整頓も出来ませんからね。生活の基本行動の一つです。

ほかにも「目の前のことをきちんとやる」「欲望のまま本能的に行動しない」ということも大事。トイレに行きたいときに行き、飲み物を飲みたいときに飲み、嫌なことは交渉して後回しにしようとする子もいるんですよね。まぁ、私に一蹴されて終わりなんですが、これはダメだなぁ…と思います。

「人の真似をしない」「自分のことができないのに人のことに口を出さない」これもかなり言われた子がいます。人がやっているから私もやりたいとか、自分のことを棚に上げて人にアドバイスしてみたりとか、怒られてましたね(笑)「自分のことやれ!」って。学校でもそうなのかなぁ?と心配になります。こういうところも、集団生活をしてみてわかるところですね。

「ご挨拶をしなさい」「おちゃらけない」「ウケをとって自分のアイデンティティを確認しない」「不機嫌で空気を勝ち取らない」これも合宿中に厳しく生徒に言ったことです。先生だけじゃなく、私たちは生活の面倒を見てくれる宿の方にもきちんと挨拶をしなさいと言っています。全部できているわけではないと思いますが、失礼のないように、そして感謝を表すようにと言っています。教育ですからね、合宿は。

集団生活に入れば、テンションが上がってウケを狙う子もいます。初めて会う仲間と仲良くなるためにおちゃらける子もいますが、これも叱られました。「遊びに来てるんじゃねーよ!」と。そう、常に状況を良く考えて行動することを小学生に対しても求めます。「小さい子に厳しい」というお声もありますが、果たしてそうでしょうかね? ちゃんと言ってきかせれば、小学生でもきちんと出来ることですし、腑に落ちればちゃんと納得して理解できることです。実際、初日に浮ついていた小学生も、2日目には落ち着くものです。

不機嫌で主導権を握ろうとする子は、私が一番大嫌いなパターンです。そういう子は結構いるものなんですが、なんだか常に不機嫌な子っていますよね? どの集団にも時々見かけるタイプだと思います。ネガティブ発言ばかりする子、誰かの文句ばかり言っている子、不機嫌を装って気を使ってもらうように仕向ける子、これって全部、自分のコンプレックスを隠すために、そして話題の中心に自分がいようとしてやっている行動なんですね。裏返せば、おとなしくしていると存在感がなくなってしまうので、みんなに気を使ってもらうように仕向けて、自分のアイデンティティを維持しているパターンとも言えます。正直、本当に大っ嫌いなやつです(笑)

そのパターンにはまりそうな子がいたので、講師からの報告があったのち、穏やかにですがお説教しました。私の指摘は全部図星だったのではないかなぁ? そこからはそんなことはなくなったようですが、その裏には「愛情を求めている」という側面もあり、寂しさもあるわけですから、全面的に私たちはアナたの味方でしょう?味方を傷付けちゃダメだよ?と諭しました。これも分かったじゃないかなぁ?

生活を共にすると、生活行動から、精神面までも、いろいろなことが分かってきますし、要素として絡んできます。単に勉強だけ教えて、それでOKならこんな簡単な仕事はないのですが、私たちはどうしても、生徒のアイデンティティを丸ごとお預かりしてしまうので、いろんなことが気になります。

どこかの塾ではありませんが、子供達というのは、多少の程度の差こそあれ、基本的には「やれば出来る子」なんです。ですから、「やらせる」こと、そして「出来る」ようにすることが私たちの基本的な仕事ということになりますが、じゃぁ単に勉強だけやらせればいいのか?ということになると、どうもそうではないように思います。能力的には「やれば出来る」のだから、やってない原因は何なのか、そしてやらせるためにはどうしたらいいのか、を考えると、それは学習指導だけではないというところに行き至ります。

勉強をやらない原因が、部活動にあったり、生活にあったり、はたまた精神的な部分にあったりと、その他の要素がからんでいることがほとんどだと言っても過言ではないでしょう。であるにもかかわらず、どの科目を何時間くらい勉強して、これだけ成績を上げましょう…などと語ることがいかにトンチンカンなのか、私たちは分かっているつもりです。

生活を共にしてみると、本当にいろんなことがわかります。
上のように、マイナスなことばかりを書き立てましたが、基本的にはみんないい子なんです。でも、学習面以外のところに落とし穴がある子も多いなぁと近年特に感じます。

人として当たり前のこと、社会生活を営む場合において常識的なことは、子供にも当たり前のようにやらせることが重要です。そして、言ってきかせる、させる、考えさせることも重要です。

私のモットーというか、桜学舎の講師たちに座右の銘とさせている言葉があります。
元は上杉鷹山、のちには山本五十六の言葉とされていますが、

「してみせて、言ってきかせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」

それは生活面でも同じこと。
大人が手本をみせ、きちんと諭して、やらせる。
私たちが出来ることなど本当にわずかなこと、微力ではありますが、合宿で色々わかったことは、面談などで保護者にお伝えしていこうと思っています。