6月末まで、3週間にわたり面談を行いました。面談期間、数多くの保護者の皆様においで頂き、ありがとうございました。30分程度の面談時間では話しきれないことも多々有りましたが、それでもいろいろな情報交換ができたことと思います。

さて、以前から感じてきたことですが、私の話は面談にしろ、説明会にしろ、女性に向けて話しているなぁと思うのです。お母様に向けて話しをしている気がしています。ゆえに、意図的というか、もう自然とそうなってしまっているのですが「共感」できる部分を増やし、その上で幾つかのアドバイスや提言を差し上げるというのが一つの型になっているのではないかなぁと思うのです。これはあくまで自覚の問題ですが(笑)

ゆえに、男性、つまりお父様からすると少々もどかしい話になっているのではないかとも思います。

男性はどちらかというと数字やデータを重視します。ふだんお子さんの教育に携わっているお父さんも少ないでしょうから、週末の短い時間の中で数字でお子さんを把握し、分析して進路の相談などにおいでになるケースが多く見られます。

中高大、どの入試においても、お父さんから頂くご質問の中で一番多いのは、

「先生、うちの子は現時点の成績で、どこなら合格できるのですか?」

というものです。非常に多いです。
もちろん、現実問題も見ていかねばなりません。入試においては「リアリスト」が勝つとも言われています。ただ、それは「勉強」「勝負」においての「技術論」の話。大抵このご質問を頂く場合、お子さんも保護者も含めて、進学や受験のコンセプトが全く決まっていないことが多いのです。要はスタートラインを知りたいということでもあるのでしょうから、サラッと「この辺ですかねー」と軽く話しますが、実は数字が先に立って進路・進学を考えていくと、多くの場合失敗します。「こんなはずじゃなかった」と言い出すケースが多いように感じます。

今の偏差値が55、だから夏から頑張ってもせいぜい60くらい、落ちる可能性も考えて下は50までかな… 目星をつける程度なら結構なのですが、相手はやはり人間です。ひと夏で超やる気になって偏差値を10も15も伸ばす子など、過去には随分いました。逆に、夏に気合がはいるどころか遊んでしまって、偏差値など見るも無残な状態になった子も。人間なんです、やっぱり。

ゆえに、そんなご質問には、「まず偏差値云々の数字から入らずに、どんな学校に行きたいか、そしてその価値観に見合う学校があるかどうかを探してください」と申し上げています。この時期だからですけどね。秋にこんなことは言ってられません。春から夏前ですから。

その上で、あぶり出された学校の偏差値が自分より高ければ、さてどうやってこれをゲットしたらよいだろうかと考えるのが、今度は「勉強論」「技術論」になってくるわけで、どうしたら成績を上げられるだろうかという話に移ってきます。しかし、その時はすでに「この学校へ行きたい」というモチベーションがありますから、「やる気が出ない」とか、「行きたい学校がわからない」とか、そういうトンチンカンなことにはならないのではないかと思うのです。 

ところが数字から入って、「せめて偏差値60くらいの学校には行けよ」「お前は行ってもこの程度だな」などと選択の範囲を規定してしまうと、もうそれ以上のことはしませんし、見違えるような大変化は起こしません。むしろ想定の範囲より小さくまとまる傾向が強いです。

入試を分析することには意味があります。データですし、数字ですから。しかし、お子さんを数字で分析してはいけません。データで解析を試みてもダメです。人間ですから。ちょっと突っつけば見違えるような成長を果たすこともあれば、全然動かないこともあります。やっぱり人間ゆえですね。

そういう「情緒的」なことが教育においては重要ですし、数字で分析しきれないところに「人間」が介入する余地があるのが「教育」なんですね。会社の「商談」や「経営分析」ではないのです。ですから方程式通りに答えが出ないことがしばしばあります。例外ばっかりです。この例外にどれほど対応できるかが「人間力」であります。それをお子さんに育む必要があります。

データはあくまで「武器」のひとつです。しかし、武器がモチベーションを生むわけじゃないのです。ぜひ、コンセプト、生き方、やりたいこと、こうありたいこと、そんなところからお子さんの進路を考えてあげて頂きたいなぁと思っています。