「自信を持って欲しいんです」
「自信を持って勉強に臨んで欲しい」
これは塾をやっていて一番聞かれる保護者の声です。皆さんこうおっしゃるんです。自信を持って欲しいって。でも、実はこの「自信を持たせる」ように導いている保護者は、本当に少ないなぁと思うのです。

これはいろんな場面で申し上げているのですが、残念ながら「ダメ出し」されて奮起していくという生徒の姿を、私は28年間でほとんど見たことがありません。もちろん、ダメなことは「ダメ」ときちんと言うことが前提です。ダメなことまで目をつぶってほめちぎれなどとは口が裂けても言いません。ですが、ケチョンケチョンにやっつけたところで、子どもはやる気にもならないし、ダメな自分に決別することもありませんし、むしろ「どうせダメ」だと開き直ったり、いじけたりするだけで、何一ついいことがないというのが結論です。

あくまで子どもに「自信を持たせなきゃダメ」なのであって、自信を持つためには、まず「自尊心がなくなるのは最もダメ」だと肝に銘じて欲しいと思っています。

ちょっと甘いだろうと思ってしまうかもしれませんが、人間、自分が自分に対して一番甘いのが当たり前だと思うのです。つまり、自分の一番のファンは自分であって、自分の一番の応援団はどうしても自分だということになります。その誰よりも自分に甘いはずの「自分」が、全然自分に対して優しくなく、また自分を認めていないとしたら? 自分の力を信じて勉強するなどということはまずないでしょう。

子供にとって「勉強」はある意味怖いのです。全くの「未知の領域」へのチャレンジを繰り返すわけですから、常に「できなかったらどうしよう?」「わからなくなってしまったらヤバイ」というリスクを背負っていることになります。では、そういう不安を払拭して、力強く未知の領域へチャレンジしていく精神的な力は何かと言うと、それが「自信」なのです。「きっと自分なら頑張ればできるよ!」という自信がないと、どんどん未知の領域へのチャレンジが減りますから、当然成績は下降します。

子どもが、仮にまぐれであっても、ちょっといい成績を取ってくると、たとえ三日坊主であったとしても、「もっとやってみよう」とやる気になることがあるのは、まさしくコレです。自己肯定できるから、自分はもう少しやればもっとできる気がするから、だからこそ次へ進めるのですし、もっと頑張ることが出来るのです。自己肯定ができないと、子どもは次へは進みません。

ですので、「褒める」「認める」という作業はとても重要なことになってきます。別に大げさに褒めることだけが能ではありません。時にはネガティブなことを言わなくてはならない場面もあるでしょう。しかし、その際にでも、「大人はお前の能力は認めているよ」という持って行き方をすべきだと思うのです。

「本当にもったいない。これだけの能力がありながら、点数にならないなんて、やっぱり地道な努力ができていないからなんだな。積み重ねが出来れば無敵なのに、実にもったいない。ほら、ここなんて出来ているのになぁ… あと20点は取れてたよなぁ… 偏差値でいったら7〜8違うんじゃないか? ほら、勿体なさすぎる! 取れてたのに! 次は地道に感じと英単語やっておいたほうがいいんじゃないか?」

こういう風に誘導して貰えば、
「そうか!ならばもっとやってみよう!」
となる傾向がありますが、

「何でちゃんと積み重ねておかないの!? あーあ、こんなところで落としてるなんて信じらんない!ばっかみたい! 偏差値で7〜8も損してるじゃない! あーあ。あんたがちゃんと勉強しないからだよ!次の英単語テスト受かんなきゃ怒るわよ!」

同じようなことを伝えているだけなんですが、全く受け取り方が変わってしまうのです。

「どうして成績上がんないのよ!」
「どうしてこんなことを理解できないの?」
「どうしてちゃんと出来ないの?」
こういうことを「許せない」というような「親のプライド」のためではなく、

「確かに大人の言う通り勉強はできていないけど、ちゃんとやれば自分でも出来るはずだから、まじめにやってみよう」

という、子どもの「顔」も立てる誘導をしていけばいいのです。そういう「子供のプライド」「自尊心」を育んでいって欲しいと思っています。

それを言って、子供の次へ繋がるか?
もし叱るのであれば、そういうことを考えながら叱って頂くと効果的かと思います。
そして、子どもたちの意識が「地道な努力」へ少しでも向いてくれるといいなぁと思っています。