斉藤一人さんという方がいます。
漢方をベースにした化粧品や健康食品の会社を興した方で、現在の「銀座まるかん」という店の創業者です。独自の経営理念があって、私たち経営者の勉強になるような書籍やセミナーやらを沢山出されている方です。

その、斉藤さんの言葉に、こんなものがありました。
商人論なのですが、脱サラを志すような方、まるかんのお店を始めようとする方向けのお話なのかとも思いましたが、ちょっと印象的だったので引用してみます。

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「商人がサラリーマンより楽だ」 と思ってやるならやめたほうがいいよ、って 「サラリーマンの3倍、苦労していいんだ」 というつもりでやったほうがいいよ、って。 その心構えがあれば、頭も使うしいろんな知恵も使おうとします。 そうやって、サラリーマンのときより3倍努力して、サラリーマンと同じ収入になったら成功者。 これが、商人の世界です。

サラリーマンは楽だといっているのではありません。サラリーマンとは世界がまったく違うといっているのです。 どれぐらい世界が違うかというと、このたとえはあまり使いたくないのだけれど、たとえば、東大に入った人たちは最高学府に入って「頭がいい」とされていますよね。その頭のいい東大生はなぜか、企業家にならずに官僚になりたがる。 それはなぜかというと、自分たちの頭は記憶力頭であって、学校の勉強がよくできても経営ということになってくると通用しないことを知っているのです、あの人たちは。 「東大を一番で出ました」といっても、学校の試験には必ず教わったことしか出ません。すでにある答えを書けばいい世界です。ところが、実社会はそうじゃない。商人になって困ることというのは、答えがない、ということなのです。

経済学者やアナリストは、過去にさかのぼって「こういう事例に似てる」とかいいます。似てる事例はいくらでもあるけど、競馬の予想だって過去のデータをいくら調べても次のレースは当たらないんですよ(笑) だから、商人の世界は、教わったことを答案用紙に書くとか、過去の事例を探すのとは、全然、違うのです。商人は、1つの当たりを見つけたら、それをコピーしていくのと同時に未来を見通していかなきゃいけない。その、教わったことのない答えをどうやって見つけるか。これにかかってくるのです、商人の世界は。

だから、ヘンな話、一流企業の部長クラスの人でも自分で喫茶店をやったらつぶします。それぐらいに思ったほうがいいのです。会社にいたときは、自分の部下や取引業者さんから「部長、部長」って、上に置かれていても、焼き鳥屋をやったらうまくいくかどうかわかりません。自分が知っている焼き鳥屋の大将が大学出じゃなくて、いつも俗っぽい話しかしないから、 「あの大将がやれるなら、自分もできる」 と思ってやってみたら大将のすごさがわかります。
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どうでしょう。
私は、とても納得しましたし、その通りだと思います。別に商人にならなくても同じだろうなとも思いますが、大人になると「正解」が何なのかを示されることはないまま、みんなが納得できるような、そして最善だろうと思われる答えを出していくことを求められます。果たしてそれが正解なのかどうかは、やってみなければわからないし、結果を出せたらそれが「正解」だということになるし、皆がそれを認めたら「正解」だということになります。

いわゆる「納得解」が求められるのだと思います。

特に商人の世界は、正解がありません。
「そんなもの売れるわけがない」と思ったものが大ヒットになったり、その逆もしかり。あの有名なキャラクター「ふなっしー」も、数分で描かれたキャラクターだという話を聞いたことがあります。何がスマッシュヒットを飛ばすかわからないのです。

ゆえに、いろいろ「考える」ことが重要ですし、答えのない問題の解を探す能力を身に付けることが重要になっていくのだと思います。やっぱり丸暗記の勉強は限界があります。行き詰まりもあります。

教わったことのない答えをどうやって見つけるか。
私など、いまだにこんなことをずっと探して生きているような気がしています(笑)