人間、「人と比べること」はごく自然なことです。当たり前。
人間は「比較」し、下手をすると「差別」すらしてしまう動物です。
ですから、人と比べてしまうことは、自然の摂理だと思って、まず間違いありません。

よく、「他の子や兄弟と比べないほうがいいのでしょうか?」
という質問を頂きます。わたしの答えは、「比べないほうがいいです」です。

前述の通り、どうあっても人と比べてしまうのが人間です。で、比べれば「違い」が出てきます。これも当然のこと。問題は、それをどうとらえることができるのか、という1点に尽きます。人と比べて、他人との差を「合理的に」理解できないなら、比べるをことをやめたほうがいいと思うのです。幼い子は特にこれが出来ません。だから、分別がついてからなら比べてもいいですが、精神的に幼いのならやめておいた方がいいと思います。

もちろん、合理的に、どこがどう違い、それは他人の良いところ、自分の良いところと冷静に客観的に比較して、取り入れたり納得したりできるのであれば有意義ですので、他人と比べてみることもいいでしょう。親御さんにも、他人との比較を持ち出して、お子さんに現状をお話しするのは一概に悪いことだとは言いません。ただし、また幼い子どもはそんな「合理的」な理解ができません。ゆえに、教育においては幼い頃に人と比べると良くないと言われるのであって、気をつけないといけないのはココなのです。 

「今の自分」と、「理想の自分」のギャップが存在し、それを何も考えずに努力だけで克服できたら、その人は成功者になれます。芸能人でも音楽家でも画家でも、失敗を恐れずにただひたすら頑張れる人や、努力だけでごり押しでハードルを乗り越えていくような人は成功できるのです。でも、理想の自分と現実のギャップに妙に押しつぶされて、自信を失ってしまったら、なかなか立ち直れないものです。さらに「努力する勇気」すら出なくなります。それがもっと面倒臭いことになるのはお分かりいただけるでしょう。

だから、子どもにネガティブなことを言い続けることも、良くありません。
「あんたに一体いくらかかっていると思ってるの!」
「そんな成績でいいと思ってるの?」
「成績悪かったらお小遣い無しだからね!」

文句を言い続けて、改善した例は少ないものです。昔は教室に釣り竿やゲーム機、いろんなものが置いてありました。遊んでばかりいる生徒から取り上げて預かっていたものです。でも、正直、そんなに成果が著しかった記憶はありません。ネガティブな動機で勉強しているうちは「成功」には程遠い状況なのだと思います。本来勉強はHAPPYになるためにするものですから。


お母さんのため、塾のため、学校のため、そんなふうに勉強している子を育ててはいけないなぁと強く感じます。勉強は自分のため、いや、楽しいからする、そんな子を育てなければいけないのだろうと強く感じています。ゆえに、兄弟の比較も、他人との比較も、分別がついてからお願いします!