常々、「教科書やテキストに載っていることがリアルに存在するんだということを教えましょう」と私は言っています。教科書に載っていることを頭に入れるのが勉強で、問題を解くことが勉強だと思っている子どもは多いですし、実はそれは親御さんがそう考えているから、という面も大きく影響します。

しかし、勉強が何の役に立つのかもわからないのに「出来るようになれ」というのはかなり無理があります。実際それで乗り切って来た親御さんもいるでしょうが、今も昔も、頭が良くて、成功できている人間は「それが一体なんなのか」をよく知る子でした。私の仲良しだった友人は東京大学に進学しましたが、まぁよくものを知っていました。そういう子が「頭のいい子」なんだと私は信じています。

中学入試の算数には「仕事算」というものがよく出て来ます。その問題は、たいていこんなやつです。


★ある水槽に水を入れます。A管だけで入れると80分で満水になり、A管とB管で入れると48分で満水になります。B管だけで入れると何分で満水になりますか。


IMG_3860それが目の前にありました。
これですね。
実は、少しお休みを頂いて妻の実家を訪ねました。伊豆山中で一人暮らしをしている義父を心配して予定したのですが、元気そうで何よりでした。実家のお風呂は「温泉」です。よって、お風呂には蛇口が2つあり、奥が温泉水、手前が水道水が出る仕組みになっています。これがまさに「仕事算」ですね(笑)これを見て、ああ仕事算だと思えるようでしたら、かなりリアルに算数を感じながら学習しているのだと思います。

これ、120分と、正解が出せましたか?
水槽の水量を1とすると、A管は80分で満水にするのですから1分間の仕事量は1/80、同じくB管は1/48です。B管の仕事量は、1/48 ー1/80なので、5/240 ー 3/240 = 2/240 = 1/120 となりますので、B管だけで水槽に水を入れると120分かかることになります。

これに、底の栓を抜いて、入ってくる水と出て行く水の差を考えながら増減を考えたりするのが「ニュートン算」ということになりますが、それも「リアルな世界で起こっている現象」の一つとして教えることが出来ると「ふぅぅん…」と印象深く学習してくれることと思います。

ただ叩き込んでも、物量作戦で詰め込んでも、子どもは飽和して、全然できなくなって爆発して終わってしまう、というケースは多々あります。桜学舎を辞めて大手塾に行ったお子さんも数々いらっしゃいますが、残念ながら桜学舎に残っていた時以上の成績をおさめている方はほぼいません。成績を伸ばすどころか、受験自体を辞めてしまったというケースも多々あります。

丁寧に、基礎を積み上げながら、じっくり育てていく、こういう机上の学習だけではないところに学習の本質があるんだということ、こういうことを子どもたちにじっくりと教えているのが桜学舎の何よりの特徴です。